起動を待つアンドロイド——『Detroit: Become Human』コレクターズエディション特典フィギュアという至宝

キャラクター玩具

ゲーム特典という「入手困難」の壁

SFロボット玩具のコレクションをしていると、しばしば「市販ルートでは決して手に入らない」アイテムに出会うことがある。今回紹介するのは、Quantic Dream開発・ソニー・インタラクティブエンタテインメント発売のPS4ソフト『Detroit: Become Human』のコレクターズエディション(2018年発売)に付属する固定フィギュアだ。

主人公アンドロイドの一体「カーラ(AX400)」が、CyberLife社の組立ベイで起動を待つ姿を立体化したもの。市販フィギュアとして流通していないため、ゲームのコレクターズエディションを当時購入していなければ入手は極めて難しい。中古市場でも既に入手困難な希少品になっている。

「製造途中」という美学の結晶

このフィギュアの最大の魅力は、完成品ではなく「起動シークエンス前の停止状態」を造形している点にある。

頭部はまだ半透明の頭蓋シェルが露出し、人工皮膚は一部のみ。胴体には白とミントグリーンのアーマープレートが配され、関節部からは青く発光する「筋繊維」のような内部構造が覗いている。両腕は脱力したまま、組立用のロボティックアームによって支えられている。

そして特筆すべきは、ベース部分の作り込みだ。CyberLifeのロゴが刻まれた回転式プラットフォーム、オレンジのアクセントライン、円形の起動ベイ——これら全てが一体となって、ゲーム冒頭のあの印象的なシーンを完璧に再現している。

押井守『攻殻機動隊』からの系譜

「製造途中のアンドロイド」というモチーフは、SFビジュアル史において一つの確固たる系譜を形成している。

その源流をたどれば、フリッツ・ラング『メトロポリス』(1927年)のマリア誕生シーンに行き着く。リング状の電気装置に囲まれて女性型ロボットが覚醒するあの場面は、その後あらゆるSF作品に影響を与えた。

そして1995年、押井守監督『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のオープニングが、この系譜を一つの頂点に押し上げる。沖浦啓之による作画と川井憲次の「謡」が一体化した、素子の義体が高分子ゲルの中で組み上げられていくあのシーケンス——あれは技術描写を超えて、ほとんど宗教儀式のような神々しさを帯びていた。「人造の聖性」とでも呼ぶべきものが、未完成の状態にこそ宿ることを証明した映像だ。

その後、HBOドラマ『Westworld』(2016年)のオープニングタイトル(自動ピアノが鳴り響く中、3Dプリンタで人間が骨格から造形されていく)が、この系譜を現代的に更新した。

『Detroit: Become Human』の組立ベイのビジュアルは、明らかにこれら先行作品への愛とリスペクトの上に構築されている。だからこそ、このフィギュアを手元に置くことは、SFロボット表現の系譜そのものを所有することに等しい。

空山基「SEXY ROBOT Floating」との共鳴

このフィギュアを眺めていると、空山基さんの「SEXY ROBOT Floating」シリーズが脳裏をよぎる。クロームメッキの女性型ロボットが、宙に浮かぶようなポージングで佇むあの作品だ。

両者に共通するのは、**「重力からの解放」と「機械的な肉体性の超越」**というテーマである。空山ロボットが鏡面仕上げの完璧な美として「浮遊」するなら、カーラは組立ベイの中で「停止」している——どちらも地に足をつけていない、宙吊りの存在として表現されている。

これは偶然ではない。アンドロイドという存在は、人間と機械、生と死、完成と未完成、その全ての境界線上に立つ存在だからこそ、視覚表現としても「中間状態」や「浮遊状態」として描かれることが多いのだ。空山さんが半世紀近くにわたって追求してきた美学が、こうしたゲーム特典フィギュアの中にも息づいているのを見ると、SFロボット表現の血脈の太さを実感させられる。

唯一の難点——「場所を取る」という現実

正直に書こう。このフィギュアには一つだけ難点がある。

サイズが大きく、箱の形が三角柱で保管に場所を取るのだ。

ベースの組立ベイ部分まで含めると、棚一段を完全に占有してしまう。コレクター泣かせの問題で、複数のSFロボフィギュアを並べて飾りたい身としては、置き場所の確保に悩まされる。専用ケースに入れて単独展示するのが理想だが、それはそれでまた場所を要する。

しかし、それでもなお手元に置く価値があると断言できる。なぜなら、これは単なるゲーム特典の域を超えて、**「2010年代後半のSFアンドロイド表現を代表する立体物」**としての歴史的価値を持っているからだ。Quantic Dreamのデヴィッド・ケイジが描いた「アンドロイドの魂」というテーマ、そしてその視覚化の到達点を、永久に固定された彫刻として手元に保存できる——これに勝る価値はない。

まとめ——「ゲーム特典」を侮るなかれ

ゲームのコレクターズエディションに付属するフィギュアは、しばしば「おまけ」として軽視されがちだ。しかし『Detroit: Become Human』のカーラは違う。これは、SFロボット表現史における重要なモチーフ——「製造途中のアンドロイド」——を、現代の造形技術と塗装技術で結実させた、コレクター必携の一品である。

市販されていないからこそ、当時のゲーマーか、私のようなロボットコレクターだけが手にすることのできた特権的なアイテム。今となっては中古市場でも状態の良いものを探すのは難しいが、もし見かけたら迷わず確保することをお勧めしたい。

棚のスペースは、いずれ何とかなる。だが、SFロボット史の一片を所有する機会は、二度と来ないかもしれないのだから。


※本記事で言及した『Detroit: Become Human』は2018年5月25日発売、開発: Quantic Dream、発売元: ソニー・インタラクティブエンタテインメント。コレクターズエディションは数量限定での販売でした。