ソニックのエッグロボ徹底レビュー|JAKKS 4インチ ヘビーキング・ヘビーガンナーと卵型ロボの魅力

完成品・キャラクターフィギュア

ゲームは未プレイ。それでもネットショップで目に止まってしまった

告白すると、私はソニック・ザ・ヘッジホッグのゲームを一度もプレイしたことがない。

それなのに、この3体をネットショップで見つけた瞬間、手が勝手にポチってしまっていた。昔からずっと、丸いつぶらな光電管の目、卵型のずんぐりした胴体、体から伸びた長い手足。──なんとも言えない愛嬌のあるロボットは大好物だ。わかりやすくいうと、『不思議の国のアリス』に登場するハンプティ・ダンプティのシルエットである。

ヴァントレットのチョロ、クロノトリガーのロボ、ワンピースのベガパンク・ピタゴラス。丸くて、ちょっと不器用そうで、でもどこか賢そうな。そういうロボットに私は昔から弱い。ソニックの世界には、その理想形がゴロゴロ転がっているのだ。

今日はJakks Pacific製の4インチアクションフィギュア3体──エッグロボ、ヘビーガンナー、ヘビーキングの紹介をします。ゲーム未プレイの人間が、なぜこの脇役ロボットたちにこれほど惹かれるのか。その理由を掘っていくと、思いがけず日本アニメの巨匠にまで話がつながっていく。

そもそも何者?──エッグロボという「悪役ロボであるバッドニク」

エッグロボ(Eggrobo)をいろいろ調べてみた結果、これはソニックの宿敵ドクター・エッグマンが自分に似せて作った卵型ロボットだ。「バッドニク(Badnik)」と呼ばれるエッグマン製の悪役メカ群の一員である。初出は1994年の『ソニック&ナックルズ』。空中に浮かぶ「スカイサンクチュアリ・ゾーン」で、背中のジェットパックで飛びながらレーザーガンを撃ってくる量産型ザコ敵だった。

面白いのは、これが単なる量産ロボではなく「エッグマンの分身」として設計されている点だ。目にはカメラ、内部には音声合成装置。エッグマン本人が遠隔操作して喋らせることもできる。つまり卵型のボディそのものが、エッグマンというキャラクターのデフォルメされた分身になっている。悪役のくせに、どこか憎めない丸いデザインがたまらない。

壊れた優等生たち──ハードボイルド・ヘビーズ

さて、今回の3体のうちヘビーガンナーヘビーキングは、ただのエッグロボではない。彼らは「ハードボイルド・ヘビーズ(Hard-Boiled Heavies)」という5体組のエリート部隊のメンバーだ。2017年の名作『ソニックマニア』で初登場した。

この設定が、私は大好きだ。彼らは元々ごく普通のエッグロボたちで、エッグマンの命令で「ファントムルビー」という強力な宝石を発掘する任務に就いていた。ところがそのルビーのエネルギーを浴びた瞬間、5体それぞれが勝手に個性と自我を持ってしまった。日本語版の公式マニュアルには、これを「宝石の力でネジが何本か緩んでしまった」とユーモラスに表現している。

無個性だった量産機が、ある日突然キャラ立ちして暴走を始める──古今東西あるロボットものの「個体が魂を持つ瞬間」というモチーフである。

5体の中で、今回フィギュア化された2体の設定は、こういう連中だ。

ヘビーキングはチームのリーダー。王冠と騎士を混ぜたような装飾に、リーダーの証である赤いマント。杖を携え、後の展開ではマスターエメラルドの力で空も飛ぶ。物語終盤ではエッグマンを裏切る、なかなかの野心家でもある。

ヘビーガンナーは火力担当。設定上は「ルーズキャノン(手に負えない暴れ者)」で、自分でも制御しきれないほど不安定。ヘリに乗って街の市民を脅かすのが大好き、という剣呑な性格だ。可愛い見た目で、やってることはなかなか物騒。

あとの3体は、マジシャンと忍者とバイカーがモチーフのキャラクターだが、フィギュア化は今のところされていないようである。

開封&単体レビュー──それぞれの卵に、それぞれの物語

さて、ここからが本番。3体をブリスターから出して、じっくり撫でくり回した所感を書いていく。

エッグロボ──シルエットを完全再現の贅沢

3体の中で、私が一番驚いたのがこいつだった。無印エッグロボ。パッと見はシンプルな赤黒卵型のロボットだが、開封してみると、丸い胴体に細い脚、白い手袋の指先まで、しっかり別パーツで作られており、けっこう凝っている。また、見た目よりもけっこう可動部があり、付属品と組み合わせると1994年のゲーム内での初出時のあの姿が完全再現できる。

右手に持たせているのは、ケーブル付きのおおきめのハンドガン。このアンバンランスに大きい武器であるが、こういうレトロフューチャーっぽいSFガジェットが好きだ。そして極めつけが背中に装備された飛行のためのジェットパック。これは『ソニック&ナックルズ』のスカイサンクチュアリ・ゾーンで飛び回っていた、あのエッグロボの姿そのものである。1994年の16bitドット絵の中で見た「飛行するレーザー砲ロボ」が、30年後にこの手のひらサイズで立体化されている。ゲーム未プレイの私だが、この完全再現には唸った。原作ファンなら泣いて喜ぶ仕様だと思う。

ヘビーガンナー──危険な火力担当の、憎めないドヤ顔

続いて青と白のヘビーガンナー。頭頂部に赤い警告灯(パトライト)を載せた、なんだか警察っぽいデザインとカラーリングのシルエット。

付属の武器がこれまた愉快で、緑と灰色のツートーンの箱型ロケットランチャー。本体の半分くらいの大きさがある。銃身は太く、ブッ放すといかにも威力ありそうな武器である。

赤い両目、頭頂部の警告灯、胸のバッテンマーク──。悪党から街の治安を守るロボコップ風のデザインだが、実は「ヘリコプターに乗って街の市民を脅かすのが大好き」という物騒な設定を持つ危険なキャラクターのロボットである。この落差がたまらない。悪役ロボが可愛い、というのは古典的な玩具の醍醐味だが、彼はその王道を行っている。

ヘビーキング──マントと王笏が語る、リーダーの風格

そしてリーダーのヘビーキング。3体の中で明らかに一段格上、というオーラを纏っている。大将のトレードマークである角がある兜をデザインしたような頭部、そして胸元には王冠の意匠、背中には堂々たる赤いマント。「無印エッグロボが5段階くらい出世したらこうなる」という説得力がある。

付属の杖は、三段重ねの黄色い円盤の上に、透明な球体が鎮座している。この球体はおそらくマスターエメラルド(ソニック世界の最重要アイテムのひとつ)を象徴していて、物語ではこの力でヘビーキングが空を飛ぶことになる。

側面から見ると、マントの造形の丁寧さがよく分かる。ドレープの流れが自然で、たなびきの表現が乾いた曲面で表現されている。マントがあるぶん、フィギュアとしての体積感が3体中で一番大きく、存在感があり、棚の主役である。

左手に杖、右手は拳を突き上げて──王の宣言である。物語終盤でヘビーキングがエッグマンを裏切って「ファントムキング」に登り詰めるシーンが、まさにこのポーズ。

3体並べて、初めて見えるもの

さて、3体を並べてみる。同じ「卵型ボディ」というシルエットを共有しながら、装飾で性格がまるで変わってしまう。ヘビーガンナーの若干斜に構えた立ち姿、真ん中の無印エッグロボの素朴な直立、そしてヘビーキングの威風堂々。同じ設計思想で組まれているからこそ、個性の違いがくっきり際立つ。シリーズ玩具の醍醐味である。

そして意外に語りたいのが、この後ろ姿だ。ヘビーガンナーの背中にはロケットのようなブースターパック、無印エッグロボの背中にはジェットパック、そしてヘビーキングは真っ赤なマント。3体それぞれ、まったく違うシルエットで「背中に何かしょっている」のがよく分かる。玩具のレビューで後ろ姿を見せる機会はあまりないが、この3体は後ろから見ても十分に楽しい。

3体を階段に配置してみる。ヘビーキングとヘビーガンナーが上段、無印エッグロボが下段でスタンバイ、というレイアウトで撮ると、なんだか本編の1コマみたいになる。組織図としても分かりやすい。

ちょっと遊びで、二人を座り込ませてみた。これがまた可愛い。可動範囲がそれなりに広いので、こういう「戦闘中の休憩」みたいな絵も作れる。悪役ロボがちょこんと腰を下ろしているのを見ると、なんだか応援したくなる。玩具というのはこういう瞬間のために存在している。<br>

なぜ「ずんぐりむっくり」は、こんなに可愛いのか

ここからが本題だ。私がこの3体に惹かれた理由を、デザインの観点から説明したい。

このデザインの正体は何か。私はレトロフューチャーのデザインだと考えている。1980年代に人々が夢見た「未来のロボット」──丸っこくて、光電管の光る丸い目、頭などにアンテナが生えていて、手足がにょきっと出ている、あの素朴なSF像だ。イメージとして、まさに昭和の80〜90年代に流行ったオムニボット(OMNIBOT)へと真っ直ぐつながる。

つまりエッグロボの可愛さは、最新ゲームのキャラでありながら、その骨格は「古き良き未来のロボット像」を受け継いでいる──新しいのに、懐かしいというのがポイントだと考える。

そしてもう一つ、可愛さの本質を言葉にするなら──機能より先に「人格」を感じさせる造形だということ。エッグロボもヘビーズも、見た瞬間に「こいつ、なんか性格ありそう」と思わせる。これは工業デザイナーが洗練された無機質な機械を設計する発想ではなく、アニメーターがキャラクターを生み出す「人格を宿した機械」の発想だ。私が好きなのは、たぶんこの一点なのだ。

ソニックの脇役ロボから、ルパン三世へ

最後に、少し遠回りな話をさせてほしい。この「人格を宿したずんぐりメカ」の系譜を辿っていくと、思いがけず日本アニメの本丸に行き着く。

ソニックには『ソニックX』というアニメ版があり、そこにデコー&ボコー(Decoe & Bocoe)というエッグマンの子分ロボ2体が出てくる。背の高いやつと、ずんぐりしたやつ。いわゆる凸凹(でこぼこ)コンビで、ボコーの名前はそのまま日本語の「凸凹」が由来だ。

このデコー&ボコー、実は別作品にそっくりな先輩がいる。1991年のTVアニメ『緊急発進セイバーキッズ』に登場するオメガとイプシロンというロボットだ。並べてみると、似ているどころかほぼ同一造形と言っていい。私も画像を確認して思わず唸った。

なぜか。両作品とも、制作スタジオが**TMS(東京ムービー新社)**で同じなのだ。そしてここからが本当に面白いところ。『緊急発進セイバーキッズ』は、キャラクター原案がモンキー・パンチ、メカニカルデザイン監修が大塚康生という布陣で作られている。

ピンと来た方もいるはず。モンキー・パンチは『ルパン三世』の原作者。大塚康生は、旧ルパンや『カリオストロの城』のメカ作画を支えた、日本アニメ史に名を刻む大御所アニメーターだ。あの「メカが生き物みたいに動く」感覚、「無機物なのに表情がある」あの呼吸を、日本のアニメに叩き込んだ人物の一人である。

そのルパン直系の布陣が手がけたロボットが、12年後にTMSの『ソニックX』でデコー&ボコーとしてほぼ同じ姿で甦った──と並べると、ちょっと鳥肌が立たないだろうか。もちろん「大塚康生が直接デコー&ボコーをデザインした」という記録があるわけではないので、そこは断定しない。だが、同じスタジオの土壌で育った作家性が、形を変えて受け継がれていった可能性は十分にある。真相は藪の中だが、その符合を想像するだけで楽しい。

海外発のゲームであるソニック。その世界のロボットたちに、ルパン三世を育てた日本アニメ・メカ作画の血が静かに流れ込んでいる。私がエッグロボのずんぐりした卵型ボディに感じた「懐かしさ」の正体は、案外こんなところにあったのかもしれない。<br>

棚の上の広がり──SFヒーローたちの隣人として

ちなみに私の棚には、他にも色々なSFヒーローのフィギュアが並んでいる。ここで並べてみたのは、アメコミのヒーローであるDC「アダム・ストレンジ」と、それをサポートするマスコットロボットという位置付けの構図だ。この構図こそ、SFの世界の縮図に見える。ヒーローがいて、そしてその横にいつも可愛らしいけど頼りになる相棒ロボがいる。

もう1枚は、『スペースチャンネル5』のうららとヘビーガンナー。まったく別のSFキャラクターがコラボしている図。玩具の面白いところは、こうして本編にはない「ありえない出会い」を、勝手にプロデュースできる点だ。ゲームを未プレイの私だからこそ、こんな遊び方ができてしまう。

おわりに──実写映画には、いなかった

ソニックは実写映画も大ヒットして、すっかりお茶の間の人気者になった。あの映画版のソニックは確かに良い出来だと思う。だが正直に言うと、ありふれたデザインの無機質なドローンは登場したが、私の心をつかむロボットは、あの実写の世界には登場しなかった。映画はシリーズ化されているので、いつか登場してくれることを期待する。

私がコレクションしたい!と思うロボットは、丸くて、不器用そうで、性格がありそうな、あの卵型のロボットたちだ。手のひらに乗る大きさで、棚の上にちょこんと立っていてくれる連中。ずんぐりむっくりしたロボットは、正義である

Amazon.co.jp: ソニック・ザ・ヘッジホッグ 4インチ 可動式アクションフィギュアコレクション(フィギュアをお選びください)(ブラスター付きEggrobo)。 : おもちゃ
Amazon.co.jp: ソニック・ザ・ヘッジホッグ 4インチ 可動式アクションフィギュアコレクション(フィギュアをお選びください)(ブラスター付きEggrobo)。 : おもちゃ
Amazon.co.jp: JAKKS パシフィック ソニック ザ ヘッジホッグ クラシック ヘビーキング 4インチ フィギュア : おもちゃ
Amazon.co.jp: JAKKS パシフィック ソニック ザ ヘッジホッグ クラシック ヘビーキング 4インチ フィギュア : おもちゃ