SFやヒーロー作品には、主人公のそばで活躍する“小さな相棒ロボット”が欠かせません。
ときに戦いを助け、ときに癒やしを与える――そんなサポートロボたちは、物語に欠かせない重要な存在です。
この連載では、私がIllustratorで描いた「大好きなロボットたち」を、時代ごとに紹介していきます。
なお、イラストはロボット玩具からインスピレーションを得たオリジナルアレンジも含んでおり、作中のロボットを正確に再現したものではありません。(ロボットの雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。)
第1回は1972年〜1978年。
特撮とアニメが融合し、個性豊かな昭和を代表するロボットたちが次々と生まれた時代から、印象的な5体をピックアップしました。
ヒューイ、デューイ、ルーイ(サイレント・ランニング/1972年)

『2001年宇宙の旅』の特撮を手がけたダグラス・トランブルの初監督作品であるSF映画『サイレント・ランニング』に登場する、3体の作業用ドローンです。
地球上の植物が絶滅した未来、宇宙船のドームでわずかに残された植物を守る植物学者ローウェルの相棒として働きます。名前は、ドナルドダックのイタズラ好きの3人の甥っ子に由来しています。
顔のない小さな箱型のボディに、マジックハンドのような腕と歩行用の脚を備えた、無骨で機械的なデザインが特徴です。
最大の魅力は、「言葉を使わない感情表現」。ヒョコヒョコと歩き、キョロキョロと周囲を見回し、器用にアームを使ってトランプのポーカーまでこなします。そうしたしぐさや動きだけで喜びや悲しみを伝え、観る者に強い印象を残します。
ラストでは、宇宙船の植物ドームにたった1体残ったデューイが、静かに植物へ水を与え続ける印象的なシーンが描かれます。この場面は、SF映画史に残る名シーンのひとつとして知られています。
後の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に登場するR2-D2にも影響を与えたとされる、サポートロボの原点ともいえる存在です。
ゴンベス(宇宙鉄人キョーダイン/1976年)

宇宙鉄人キョーダインに登場するメンテナンスロボット。石ノ森章太郎作品らしいユーモアと機能性を兼ね備えた存在です。
黄色い円盤型の頭部と黒い球体ボディというユニークなデザインで、ベース円盤内では末っ子・健治の世話をする“家政ロボ”としても活躍。体内に材料を入れて料理を作ることができるなど、家庭的な一面も持っています。
一方で戦闘能力も高く、頭部と胴体を分離して戦う「シャッポアタック」や、胴体を転がして移動する「ゴンベスボール」など、ユニークなギミックを搭載。語尾に「〜ベス」をつける話し方も印象的で、コミカルさと頼もしさを両立したキャラクターです。
👉 「生活+戦闘」を両立した、万能サポートロボの先駆け。
オモッチャマ(ヤッターマン/1977年)

ヤッターマンに登場するサイコロ型ロボット。タイムボカンシリーズを代表する人気キャラクターのひとつです。
ガンちゃんの父親が営むおもちゃ屋のマスコットで、子どもが両手で持てるほどのコンパクトサイズ。乾電池で動き、頭のプロペラで飛行することも可能です。
主な役割は偵察で、ドロンボー一味のアジトに潜入して情報を集めるなど、ストーリーの導線を担う重要なポジション。一人称は「ボッチ」、語尾の「〜だコロン」という独特のしゃべり方も強烈な個性となっています。
感情表現も豊かで、時には生意気な発言をするなど、人間味あふれるキャラクターとして人気を集めました。
👉 「情報収集型ロボ」の完成形ともいえる存在。
ベバ2号(宇宙からのメッセージ/1978年)

東映が制作したSF映画『宇宙からのメッセージ』に登場する執事ロボットです。
元将軍ゼネラル・ガルダの相棒で、腐敗した連邦に失望したガルダと共に軍を離れ、行動を共にしています。物語の鍵となる「リアベの実」は宇宙を救う勇者に届くという設定ですが、なんとロボットであるベバ2号にもリアベの実が届き、7人目の勇者として認められます。ロボットが人間と並んで「選ばれし者」になるという展開は、当時としてはとても斬新でした。
声を担当したのは『オバケのQ太郎』のQ太郎役でも有名な曽我町子さんで、そのかわいらしい声が印象に残っています。忠実な執事でありながら勇者でもあるという二面性が、このロボットの最大の魅力です。
映画自体は興行的に苦戦したものの、特撮技術は高く評価され、海外でも公開されました。
👉 「日本版スターウォーズ」を目指したSFメカデザインの名脇役。
トント(宇宙からのメッセージ 銀河大戦/1978年)

映画版の100年後を描くテレビシリーズ『銀河大戦』に登場する万能ロボットです。
白い球体の頭部に赤いバイザー、ボディにはカラフルなランプやコントロールパネルを備え、足元の車輪で軽快に移動します。目の表情によって喜怒哀楽を表現するなど感情描写も豊かで、宇宙船の修理から、さらには自分専用のアダムスキー型UFOを組み立ててしまうほどの高い技術力を持っています。
声を担当したのは田渕岩夫さん。やや口が悪く、人間を小馬鹿にしたような発言も目立ちますが、仲間である猿人バルーに対しては「バルーのためなら壊れても構わない」と言い切るなど、情に厚い一面も見せます。「トント知らない」が口癖のツンデレ気質も魅力のひとつです。
制作には当時としては破格の600万円が投じられており、その精巧な造形も相まって、忍者SFアクションの世界観の中で強い存在感を放つキャラクターとなりました。
👉 「ビジュアルとキャラ性で魅せる」80年代前夜のロボット。
まとめ:サポートロボ黎明期の魅力
1972〜1978年は、
👉 サポートロボという役割が確立され始めた時代でした。
- ヒューイ・デューイ・ルーイ:言葉を持たない箱型ロボットが、人間の「相棒」になれることを証明した先駆者
- ゴンベス:家事や料理も戦闘もこなす、特撮が生んだ万能サポートロボ
- オモッチャマ:チームを元気にさせるムードメーカ的なマスコットロボ
- ベバ2号:勇者に選ばれた執事ロボ――和製スペースオペラが生んだ人間型メカの傑作
- トント:口は悪いが情に厚い、和製SFが誇る非人間型メカの名脇役
後のロボットキャラクターに通じる要素が、この時期にすでに形作られています。


